パワーメタル
Power Metal
成立1980年代半ば発祥欧州全盛 1990年代
疾走とハイトーンで上を向かせる、高揚のメタル
ツーバスが床を蹴り上げ、ハイトーンが天井を突き抜けていく。パワーメタルはまずその速度と高さで身体を掴む。Helloween の「Keeper of the Seven Keys」でカボチャが疾走するとき、聴こえてくるのは悲壮ではなく高揚だ。走るために走る、その気持ちよさに理屈はいらない。
速いだけの音楽ではない。Blind Guardian を聴くと、幾重にも重ねたコーラスが合唱団のように迫ってくるのがわかる。ハンズィ・キアシュの声が何十トラックも折り重なって、ひとつの分厚い壁になっていく。物語を歌う声が、そのまま音の建築になっている。
大陸ごとに鳴りが違うのも面白いところで、Running Wild が海賊の帆を張って荒々しく突っ込む一方、米型の Iced Earth はギターのザクザクした刻みで足元を固めてくる。同じ速さでも、片や祝祭、片や戦場だ。この振れ幅の広さがジャンルの体力を支えている。
Gamma Ray でカイ・ハンゼンがギターを弾きながら歌い上げる瞬間、胸の奥がぐっと持ち上げられる。悲しい歌詞でも音は前を向く。この音楽が伝えたいのは、たぶんその「上を向く力」なのだと思う。だから聴くと、少しだけ姿勢がよくなる。
音の核
ツーバスの疾走感突き抜けるハイトーン多重コーラスの厚み前を向く高揚のメロディ
系譜の位置
代表盤
Essential Albums1987
Helloween
Keeper of the Seven Keys: Part I
欧州型パワーメタルの様式を決めた原点
1987
Running Wild
Under Jolly Roger
海賊メタルの旗を掲げた荒々しい疾走盤
1995
Gamma Ray
Land of the Free
ハンゼンが歌も担い高揚を突き詰めた一枚
1998
Blind Guardian
Nightfall in Middle-Earth
多重コーラスで物語を建築した金字塔
1998
Iced Earth
Something Wicked This Way Comes
米型の硬い刻みで組んだ叙事詩的大作
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