シンフォニックメタルとは

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シンフォニックメタル

Symphonic Metal
成立1990年代半ば発祥欧州全盛 1996〜2010年

轟音とオーケストラが同じ空気を分け合う交響メタル

合唱が入ってきた瞬間、床が一段沈む。ギターの刻みはそのままなのに、後ろで数十人分の声が壁になって押してくる。歪みの上に女声のロングトーンが乗ると、耳は歪みを追うのをやめて、その一本の線を追いはじめる。轟音とオーケストラが同じ空気を分け合っている、その物理をまず身体で聴く。

この鳴りは欧州で九〇年代半ばに固まった。Therion が『Theli』でデスメタルの喉を降ろして合唱団を招き入れたとき、重さと荘厳さが喧嘩せず握手した。同じ頃に生まれた Nightwish は、そこへ透き通ったソプラノを一本通して、もう一つの入口を開けた。片方は聖歌隊の厚み、片方は独唱の高さ。二つの回路が別々に太っていって、いまの型になったんだ。

効いているのは音の配置の妙だ。ギターは中域をあえて空けて、その隙間に弦とコーラスが滑り込む。ドラムがダブルバスで床を這っても、上物は詰まらない。Within Temptation の遅い曲で声が伸びきる直前、バックのストリングスがふっと引く一瞬がある。あの引き算の呼吸まで含めて、この音楽は設計されている。

だからシンフォニックメタルは、飾りではなく骨だ。Epica の男女ツインボーカルが合唱に飲まれず立っているのは、オーケストラが伴奏でなく対等な声部として鳴っているから。轟音を怖がらない交響曲、と言ってもいい。まだ聴いていないなら、まず合唱が入る一小節を待ってほしい。そこで床が沈む感覚が来たら、もう入口をくぐっている。

音の核
合唱団と歪みの共存ソプラノ独唱の一本線オーケストラの対等な声部引き算で作る荘厳さ
系譜の位置
本体シンフォニックメタル

代表盤

Essential Albums
1996
Therion
Theli
合唱団を招き入れ現行型の礎を築いた転機作
Therion - Theli のジャケット
1998
Nightwish
Oceanborn
ソプラノを一本通す入口を確立した初期の頂点
Nightwish - Oceanborn のジャケット
2004
Within Temptation
The Silent Force
重さと歌の伸びを両立させた劇的な代表作
Within Temptation - The Silent Force のジャケット
2005
Kamelot
The Black Halo
ファウスト主題を交響で描いた物語型の到達点
Kamelot - The Black Halo のジャケット
2009
Epica
Design Your Universe
男女ツインと合唱団を対等に配した総合作
Epica - Design Your Universe のジャケット

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