90年代スウェディッシュ・メロデスの隠れた4枚——AT THE GATES以外の本物

スウェディッシュ・メロデス ── 90年代スウェディッシュ・メロデスの隠れた4枚——AT THE GATES以外の本物 埋もれた名盤
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『Slaughter of the Soul』が放った最後の一閃が、トマス・リンドベリ(Tomas Lindberg)の絶叫と全パートの収束で90年代スウェディッシュ・メロデスのアイコンになった。だが同じ時期、同じイェーテボリ周辺で、同じ熱量を鳴らしながら大舞台に出られなかった作品が、何枚も並走していた。

AT THE GATES以外の90年代スウェディッシュ・メロデスから、いま聴き直しても色褪せない4枚を選んだ。Eucharist『A Velvet Creation』(1993)、Ceremonial Oath『The Book of Truth』(1993)、Unanimated『Ancient God of Evil』(1995)、Gardenian『Soulburner』(1999)——いずれも独立した「本物」として聴くに値する4枚である。

ユーカリスト(Eucharist)『A Velvet Creation』(1993)——スウェディッシュ・メロデスの始発駅

スウェディッシュ・メロデス——ダークな丘の影を持つ森
Photo by Amir Arsalan Shamsabadi on Unsplash

ユーカリスト(Eucharist)が1993年に Wrong Again Records から『A Velvet Creation』を出したとき、メンバーはまだ10代後半から20代前半だった。デビュー作のレコーディング直後にバンドはいったん解散し、メンバーは各方面へ散っていく。ドラマーのダニエル・エルランドソン(Daniel Erlandsson)はアーチ・エネミー(Arch Enemy)の中心人物として現在も活動しており、その他のメンバーはアルマゲドン(Armageddon)やイン・フレイムス(In Flames)の周辺と関わった。

このアルバムが面白いのは、後にメロデスの主流を作る連中が、まだ「主流」を作る前の手探りで鳴らしている点だ。「Greeting Immortality」の冒頭リフは、後年イン・フレイムスが洗練させていく三度ハモり以前の、もう少し荒れたツインギターになっている。「My Bleeding Tears」の中盤、シンセが控えめにコードを敷くところでドラムがあえて走らずタメる箇所がある——その若い手の余裕のなさが、結果としてグルーヴを生む。

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1993年Wrong Again Records盤。後のArch Enemy/In Flamesの母体になった面々の手触りを残した一枚。

バンドはその後1997年に二作目『Mirrorworlds』を出して再度休止し、2015年に再結成、2022年に三作目『I Am the Void』をリリースした。本作を聴くなら、ここに後のアーチ・エネミーの精度を読み込みすぎないほうがいい。磨かれる前にしか鳴らなかった音が、ここで一度だけ鳴った。

セレモニアル・オース(Ceremonial Oath)『The Book of Truth』(1993)——イン・フレイムスとハンマーフォールの交差点

スウェディッシュ・メロデス——暗い教会内の窓
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セレモニアル・オース(Ceremonial Oath)の1993年作『The Book of Truth』のラインナップは、いま見るとつまずく。ベースはイェスパー・ストロームブラッド(Jesper Strömblad)——後のイン・フレイムス(In Flames)の中心人物。リズムギターのアンダース・アイワース(Anders Iwers)は後年ティアマト(Tiamat)に長期在籍することになる。バンドの創設メンバーであるオスカー・ドロンヤク(Oscar Dronjak)はこの本作のレコーディング後に脱退し、その後ハンマーフォール(Hammerfall)を結成する。

この時点ではデス声と中音域の歌い回しを行き来する楽曲が並ぶ。「Prologue: Sworn to Avenge」から「Chapter III: Caught Between the Seraphim」までを通すと、楽曲の核がイン・フレイムス的なツインギターの旋律でなく、ストロームブラッドのベースのうねりに置かれている瞬間がある。これは後のイン・フレイムスでは聴けない側面だ。

🎵 Spotifyで Ceremonial Oath -『The Book of Truth』を聴く

2013年再発盤。本編に加え前身バンド Desecrator のボーナス音源を収録。

1996年にバンドは解散し、メンバーは各々の名声に向かって散る。『The Book of Truth』は、彼らがイン・フレイムスでもハンマーフォールでもティアマトでもなかった、一瞬の合流地点として残っている。前史の文脈を払って、それ自体として聴けるか——本作の問いはそこにある。

アンアニメイテッド(Unanimated)『Ancient God of Evil』(1995)——ディセクションの隣でこそ聴くべき一枚

スウェディッシュ・メロデス——夜の雪の森の小径
Photo by Ivan Stepanov on Unsplash

アンアニメイテッド(Unanimated)の二作目『Ancient God of Evil』は、1995年3月に No Fashion Records からリリースされた。同じ年に同レーベルからディセクション(Dissection)の『Storm of the Light’s Bane』が出ており、両作はジャケットの装丁を含めて姉妹作のような並びを成した。

ブラッケンドな影をまとっているが、楽曲は完全にメロデスの骨格を保つ。「Eye of the Greyhound」の中盤、リードギターが旋律を歌い切らずに一度引いて、リズム隊が前へ出てくる箇所がある。ディセクションが旋律を立てて聴かせるのに対し、本作では旋律と暴力が同じ平面で押し合う。「Life Demise」のブラストとトレモロが切り替わる接点も、ブラックメタル的な激しさへ振り切らずメロデスの位相に留まっている。

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No Fashion Records・1995年3月リリース。Unisound Studios録音。

バンドは本作の翌1996年に活動を止めるが、2007年に再結成、2008年から再びステージに戻った。2021年には Century Media から『Victory in Blood』を発表しており、現在も活動を継続している。長い沈黙のぶん、『Ancient God of Evil』の再評価がじわじわ進んできた。

ガーデニアン(Gardenian)『Soulburner』(1999)——スタジオ・フレドマンが鳴らした最終局面

スウェディッシュ・メロデス——ヴィンテージのギターアンプのクローズアップ
Photo by Chris Marlin on Unsplash

1999年、ガーデニアン(Gardenian)はセカンドアルバム『Soulburner』を Nuclear Blast からリリースする。レコーディング場所はイェーテボリの Studio Fredman——AT THE GATES、イン・フレイムス、ダーク・トランキュリティ(Dark Tranquillity)の重要作を録音してきた、北欧メロデスのもう一つの中心地である。ギタリストのニクラス・エンゲリン(Niklas Engelin)はイン・フレイムスにも籍を置いた人物で、本作の旋律設計には同時代のイン・フレイムスとは別角度の手癖が滲む。

本作の特徴は、メロデスの輪郭を残しながらメロディの組み立てをギリギリまで磨き上げている点だ。「As a True King」のサビ前、ギターが二音だけのモチーフを繰り返す箇所では、抑制が利いている。「Soulburner」のアウトロでは、エリック・ホーク(Eric Hawk・元 Artch)のゲストヴォーカルが既存のメロデス声と異なる質感で重なって、楽曲のスケール感を一段押し上げる。

🎵 Spotifyで Gardenian -『Soulburner』を聴く

1999年Nuclear Blast盤。Studio Fredman録音。

2000年作『Sindustries』ののちバンドは長く休眠していたが、近年メンバーが再結集している。『Soulburner』には、メロデスがマンネリ化に向かう手前の、最後の張り詰めた瞬間が刻まれている。

イェーテボリの音は、AT THE GATES の一発で語り切れる規模ではすでになかった。同時期に同じ熱量で鳴らしていた4枚は、それぞれの形で「本物」を残している。サブスクで全アルバムが揃う時代に、入口を選び直す余地は十分にある。

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