メロディックデスメタル
Melodic Death Metal
成立1990年代前半発祥スウェーデン全盛 1993〜1996年
デス声で叙情を歌う、獰猛と哀切が同じ小節で手をつなぐ轟音
ツインギターが同じ旋律をなぞって走り出す、その一瞬で背筋が持っていかれる。デス声が乗っているのに、鳴っているのは悲しいくらいに美しいメロディだ。獰猛さと哀切が同じ小節のなかで手をつなぐ、その矛盾こそがこの音楽の入り口になる。
ヨーテボリの冬みたいな冷たい旋律が、ハーモナイズされたリードで前へ前へと押し出されていく。刻みは硬く速いのに、上に乗るギターは歌う。低く潰した咆哮が言葉の意味を溶かして、代わりに旋律の輪郭だけが肋骨のあたりに残っていく。速さで殴るのではなく、旋律で射抜きにくる音楽だと聴けばわかる。
ブラストに寄る場面でも、根っこにあるのは歌だ。リフが一本の線として頭に残り、口ずさめてしまうのに、喉から出るのは獣の声という捻れ。北欧の民謡めいた音階がふっと差し込まれて、勇壮さと寂しさが同時に胸を突く瞬間がある。攻撃性と叙情がせめぎ合って、どちらも譲らないまま曲が閉じる。
だから初めて触れる人ほど、まず旋律を追ってほしい。声の恐ろしさに怯む前に、ギターが描く線を耳で掴めば、この轟音がどれだけ切なく歌っているかが身体でわかる。デスメタルの語彙で叙情詩を書く、その離れ業を鳴らしている。
代表盤
Essential Albums1993
Carcass
Heartwork
叙情リフでデスを美へ導いた先導盤
1995
At the Gates
Slaughter of the Soul
疾走と旋律を極限まで研いだ様式の頂点
1995
Dark Tranquillity
The Gallery
冷たく歌うツインリードの美しい教科書
1996
In Flames
The Jester Race
北欧民謡的旋律を織り込んだ叙情の核
2008
Amon Amarth
Twilight of the Thunder God
勇壮な旋律で北欧神話を轟かせた到達点
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