ニューメタル
Nu Metal
成立1990年代前半発祥米国全盛 1999〜2001年
技巧を捨て、腹に響く太いリフで殴る轟音
低く垂れた7弦の弦を、指の腹でべこりと押し込む音から入ろう。ニューメタルはそこで鳴っている。速さでも様式でもなく、腹の底で唸る太いリフの反復——胸骨に触れてくる低音の壁だ。技巧を前に出さず、身体が先に反応する音を選んだ。
Kornの最初のアルバムを初めて針から落としたとき、私はギターがどこにあるのか一瞬わからなかった。ベースと歪みが溶けて、ひとつの分厚い塊になっている。あの濁りは失敗ではなく設計で、綺麗に分離させないことで音が塊のまま胸を押してくる。「聴き取れない」ことが快感に化ける瞬間があった。
Deftonesはその濁りに別の温度を持ち込んだ。轟音の裏で歌が艶を帯び、Chino Morenoの声が咆哮と囁きの間を滑る。重さと美しさが同じ小節で握手する。掴みかかる腕に、ふっと羽根が触れるような手触り——グルーヴがヒップホップの跳ねを吸って、頭より先に首が動いた。
System of a Downを大音量で浴びると、ニューメタルの器の広さが一発でわかる。政治も皮肉も民族的な旋律も、あの低いリフの上なら乗ってしまう。俗っぽいと言われた音楽が、いちばん俗っぽくない場所まで運んでくれた夜がある。だから私はこのジャンルを見下ろす言葉を持たない。鳴っていたのは、まぎれもない本気だった。
音の核
ダウンチューニングの太いリフ分離させない歪みの塊ヒップホップ由来の跳ねるグルーヴ咆哮と歌の振れ幅
系譜の位置
本体ニューメタル
代表盤
Essential Albums1994
Korn
Korn
ベースと歪みが溶けた濁りで胸を押す原点
2000
Deftones
White Pony
轟音の裏に艶を通した美しさの到達点
2000
Limp Bizkit
Chocolate Starfish and the Hot Dog Flavored Water
跳ねるグルーヴを商業の頂点まで運んだ
2001
System of a Down
Toxicity
皮肉と民族旋律を低いリフに乗せた広がり
1999
Slipknot
Slipknot
9人の暴発を塊のまま叩きつけた狂騒
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