AS I LAY DYING事件簿——フロントマン殺人依頼、出所、復帰、そして2024年の崩壊

AS I LAY DYING事件簿——フロントマン殺人依頼、出所、復帰、そして2024年の崩壊 メタル事件簿
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2013年5月7日、カリフォルニア州オーシャンサイドで AS I LAY DYING のフロントマン、ティム・ランベシスTim Lambesis)が逮捕された。罪状は殺人依頼。妻の殺害報酬として1,000ドルを覆面捜査官に手渡した直後の現行犯逮捕で、AS I LAY DYING 事件はそこから始まった。

AS I LAY DYING のティム・ランベシスは2013年に妻の殺害を依頼した罪で逮捕され、翌年に6年の実刑判決を受けた。仮釈放後の2018年にバンドを再結成したが、2024年10月に旧メンバー全員が脱退、現在は新編成で活動を続けている。

AS I LAY DYING 事件の発端——2013年5月の逮捕

メタルコア・シーンの中心にいたバンドが、一夜で停止した出来事だった。当時のランベシスは33歳。AS I LAY DYING はサンディエゴ出身のクリスチャン・メタルコア・バンドとして2000年に結成され、2007年9月8日付の全米ビルボード200で4thアルバム『An Ocean Between Us』が初登場8位を記録、同作収録の「Nothing Left」では第50回グラミー賞「ベスト・メタル・パフォーマンス」部門にノミネートされる、シーン最大級の存在へ到達していた。

AS I LAY DYING 事件——暗い室内に滲むひとつの輪郭
Photo by Xhon Dang on Unsplash

事件の構図は複雑なものではなかった。妻のメガン・マーフィー(Meggan Murphy)との離婚調停中、ランベシスは知人に「妻を消したい」と相談し、その知人を介して紹介された人物が、実は覆面捜査官だった——というアメリカの定型的なおとり捜査の結末である。1,000ドルの現金、妻の住所、出入りの時刻、ペットがいる位置まで具体的に伝えていたとされる。

弁護側は公判で別の物語を持ち出した。減量と肉体改造のためのアナボリックステロイド使用と医師処方のテストステロン療法が判断能力に影響を及ぼした、という主張である。2014年5月16日、サンディエゴ郡上級裁判所のカルロス・アーマー(Carlos Armour)判事から判決が下った。6年の実刑。初犯であること、本人の罪状認否、現実の被害者がいなかった点が酌量された結果だった。

2018年の復活——「無理に押し込んだ四角いペグ」

ランベシスは 2016年12月17日 に仮釈放で出所した。実質的な収監期間は3年弱である。出所から1年半後の2018年6月8日、バンドは6年ぶりの新曲「My Own Grave」を発表し、復帰を公にした。同時に旧メンバー——ギターのニック・ハイパ(Nick Hipa)、フィル・スグロッソ(Phil Sgrosso)、ベースのジョシュ・ギルバート(Josh Gilbert)、ドラムのジョーダン・マンチーノ(Jordan Mancino)——が再結集した。

復帰アルバム『Shaped by Fire』は2019年9月20日にリリースされ、シーンを賛否で二分した。罪を赦すべきか、許されざる人物の音楽を聴いてよいのか。この問いはNMEや英米のメタル媒体で幾度も特集された。バンド側はライブで贖罪のスピーチを行い、慈善活動への協力姿勢も示している。

内側はうまく繋がっていなかったらしい。ランベシス本人が後年のインタビューで「あの再結成は四角いペグを丸い穴に無理に押し込んだようなものだった」と振り返っている(Theprp.com, 2024年4月)。表面の音と内側の関係は、別の周期で動いていた。

脱退ドミノ——2020〜2024の崩壊

2020年、ニック・ハイパが先に離脱した。2022年6月にドラマーのマンチーノがツアー参加を辞退すると、その1週間後にバンド側は「マンチーノが自らバンドから自らを破門した」とする声明を出している。同じ年にベースのギルバートも脱退、結成期からの中核が次々と抜けていく。

AS I LAY DYING 事件——夜のステージを遠巻きに見守る観客
Photo by Rafael Garcin on Unsplash

新メンバーで再構築されたバンドは 2024年11月15日、Napalm Records から8thアルバム『Through Storms Ahead』をリリースした。だがその直前の10月、シーンには地殻変動が走っていた。ツアー・マネージャーを含む現行ラインナップ全員が、モラルと安全上の理由を挙げて一斉に脱退する。元ギタリストのケン・スーシ(Ken Susi、UNEARTH/現 All That Remains)が後にポッドキャストで明かした内容は重く受け止められた。スーシ自宅のキッチンで、ランベシスが現在の妻ダニー・シアラ(Dany Ciara)を追いつめ顔に唾を吐いた——その場面が防犯カメラに記録されていた、というものである。

事態は止まらなかった。2025年1月、ランベシスが犬を蹴る様子と思われる動画が流出した。4月にはカリフォルニア当局による動物虐待の調査を求める請願に約7万人の署名が集まっている。

2025年の再構築——「Echoes」と4人の新メンバー

2025年10月8日、AS I LAY DYING はシングル「Echoes」を発表し、同時に新ラインナップを公開した。ベースとクリーンボーカルにクリス・クランシー(Chris Clancy、元 Mutiny Within)、ギターにビル・ハドソン(Bill Hudson)とドン・ヴェッダ(Don Vedda)、ドラムにティム・ヤン(Tim Yeung)。実質的にランベシスだけが残った、再スタートの体制である。

🎬 YouTubeで AS I LAY DYING「Echoes」を観る

2025年10月、新ラインナップで発表された復活シングル。Tom Flynn 監督による公式ミュージックビデオ。

2026年3月、新編成は『Shadows Are Security』20周年を冠してロシアでツアーを行った。北米・西欧のマーケットから距離を置いた選択ではあるが、活動継続の意思は明確に示された格好である。

音楽の側だけ取り出して聴けば、「Echoes」のクリーンとスクリームの対比はバンドが2007年に確立した構造を踏襲している。シーンの一部のリスナーは音だけで判断したいと表明しており、別のリスナーは音の供給元そのものを問題視している。AS I LAY DYING 事件は、音楽と人格の分離可能性を問う長い議論の中で、近年もっとも極端な参照点として残り続けている。

事件から13年が過ぎた。バンドの音は止まっていない。何が止まらなかったか、何が止まるべきだったか。その評価はリスナー一人ひとりの中で、今も動いている。

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