フォークメタル
Folk Metal
成立1990年代前半発祥欧州全盛 2005〜2010年
歪んだギターと民族楽器が同じ小節を奪い合う、跳ねる轟音。
フィドルが刻みに食い込んでくる瞬間、腹の底が持っていかれる。歪んだギターの下でヴァイオリンやアコーディオンが踊り、ブラストの上に古い舞曲の旋律が乗る。ディストーションと民謡が、どちらも譲らずに同じ小節を奪い合う。その拮抗がフォークメタルの呼吸だ。
Skyclad の一枚目でフィドルがスラッシュのリフに絡んだとき、金属と土のにおいが同居してしまった。祝祭のリズムを鳴らしながら歌詞は神話や歴史や酒宴を語り、コーラスに来ると足が勝手に跳ねる。難しい理屈より先に、肩が縦に揺れているのに気づく。
楽器の分離がいい。ヴァイオリンの弓が弦を擦る手触りと、ダブルバスの粒が潰れずに並ぶ低域。Eluveitie のようにハーディガーディや笛を何本も重ねても濁らず、旋律の輪郭が立ったまま疾走する。速さの中に踊りの間が残っているから、聴いていて息が続く。
フィンランドの森が匂うような音があるかと思えば、酔って肩を組む酒場の温度もある。祝祭の音楽であり、同時に鋭い牙を隠し持っている。だからこそ轟音をまだ知らない耳にも、あの跳ねる旋律から入っていける。まず一曲、フィドルが走り出すところで身体を任せてみてほしい。
代表盤
Essential Albums1991
Skyclad
The Wayward Sons of Mother Earth
フィドルとスラッシュが出会った出発点
2007
Ensiferum
Victory Songs
疾走と合唱が高らかに噛み合う一枚
2007
Korpiklaani
Tervaskanto
酒場の熱気と森の匂いが同居する
2004
Finntroll
Nattfödd
跳ねるフンパ調のブラック寄り異形
2008
Eluveitie
Slania
何本もの民族楽器を濁さず疾走させる
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